【中学受験注目校】函嶺白百合中〜温かく、相手の立場で考える学校〜

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1 学校の概要
函嶺白百合学園中学校は、神奈川県足柄下郡箱根町の豊かな自然に抱かれた、カトリック系の私立女子中学校です。
箱根登山鉄道の強羅駅から徒歩数分という、風光明媚な地にキャンパスを構えています。
その歴史は1944年、戦時下に東京の白百合高等女学校が疎開学園を設立したことに始まります。
戦後、1949年(昭和24年)に「函嶺白百合学園」として独立し、
小学校、中学校、高等学校を擁する一貫校として新たな歩みを開始しました。
同学園の根幹をなすのは、キリスト教の教えに基づいた建学の精神「キリストの愛の教えに基づく全人教育を通して、
社会に貢献できる子女の育成」です。
この精神のもと、生徒一人ひとりが神に愛されるかけがえのない存在であることを自覚し、
他者への思いやりを育むことを重視しています。
「従順」「勤勉」「愛徳」という校訓は、真の自由を知る喜び、自らの能力を磨き役立てる喜び、
そして受けるよりも与えることを知る喜びを示しており、日々の学校生活の指針となっています。
学校の教育目標としてユニークなのは、
「偏差値を3伸ばすよりも人格の幅を3センチ広げる」という言葉に象徴される人間教育です。
学力向上はもちろんのこと、それ以上に豊かな人間性や他者の痛みに共感できる心を育てることを大切にしています。
また、創立者の言葉である「一流の国際人におなりなさい」という指針も受け継がれており、
単なる語学力にとどまらない、真の国際感覚と奉仕の精神を持った女性の育成を目指しています。
全校生徒の数が限られた小規模校であることも大きな特徴です。
生徒一人ひとりに対するきめ細かな指導が可能であり、
教員と生徒、また生徒同士の距離が近いアットホームな校風が育まれています。
箱根の雄大な自然環境は、生徒たちの感性を豊かにし、落ち着いた学習環境を提供しています。
2 入試情報
函嶺白百合学園中学校の入試は、生徒の個性や基礎的な学力を丁寧に見ることに重点が置かれています。
募集定員は多くありませんが、複数回の入試日程を設けることで、受験生に多様な受験機会を提供しています。
◆ 偏差値
中学受験における偏差値は、志望校選定の重要な指標の一つです。
函嶺白百合学園中学校について、四谷大塚が公表している2025年度入試向けの合不合判定テスト80%偏差値一覧では、
偏差値の記載はありません。
これは、受験者数やデータ収集の状況によるものと考えられます。
偏差値が公表されていない学校を受験する場合、模試の結果だけで合否を判断することは難しくなります。
学校側が偏差値では測れない生徒の個性や将来性、あるいは学校の教育方針への共感を重視している可能性もあります。
したがって、過去の入試問題の傾向をしっかりと分析し、学校説明会や公開行事に足を運んで校風を肌で感じ、
学校が求める生徒像を理解することが、他の学校を受験する場合以上に重要になります。
◆ 倍率
2024年度(令和6年度)入試の結果を見ると、函嶺白百合学園中学校の入試は、
受験者数に対して合格者数を絞り込む厳しい選抜というよりは、
学校の教育方針に合致する生徒を丁寧に見極める姿勢がうかがえます。
2024年度の第1回入試(2月1日実施)は、募集人員15名に対し、
受験者数は9名、合格者数は7名で、実質倍率は約1.28倍でした。
同日に行われた第2回入試(2月1日実施)は、募集人員15名に対し、
受験者数10名、合格者数9名で、実質倍率は約1.11倍となりました。
翌日の第3回入試(2月2日実施)は、募集人員10名に対し、
受験者数1名、合格者数1名で、実質倍率は1.00倍でした。
全体として倍率は落ち着いており、受験者にとっては過度な競争を意識することなく、
自分の力を発揮しやすい環境であったと言えます。
ただし、募集人員自体が少ないため、年度による志願者数のわずかな変動が倍率に影響を与える可能性はあります。
◆ 入試日程
2025年度入試の詳細については、2025年10月現在、11月に開催される入試説明会などで順次公表される段階です。
ここでは、参考として2024年度入試の日程と科目をご紹介します。
2024年度入試は、第1回と第2回が2月1日に、第3回が2月2日に設定されていました。
試験科目は、3回すべての入試日程において国語と算数の2科目で実施されました。
詳細な配点や試験時間については公表されていませんが、
4科目入試が主流の中で、2科目に絞った選抜方法は特徴的です。
国語と算数の基礎学力をしっかりと固め、記述力や思考力を問う問題に対応できる準備が求められます。
また、試験当日は受験生のみ面接も実施されました。
最新の募集要項については、必ず学校の公式ホームページや入試説明会で確認するようにしてください。
3 教育・施設
函嶺白百合学園中学校の教育は、その豊かな自然環境とカトリックの精神に基づいた、
独自のプログラムによって構成されています。
施設面でも、生徒の学びと生活を支える環境が整っています。
◆ 教育内容
教育の柱は、まず第一にキリスト教の価値観に基づく「心の教育」です。
毎日の朝礼での祈りや聖書の朗読、週1回の宗教の授業などを通じて、感謝の心や他者への奉仕の精神を学びます。
学習面では、創立当初から続く「少人数教育」が最大の特徴です。
中学校では英語と数学において習熟度別授業や分割授業(ティームティーチング)を導入し、
生徒一人ひとりの理解度に応じたきめ細かな指導を徹底しています。
中高一貫校の利点を活かし、一部の教科では中学段階から高校の内容を取り入れた「先取り学習」も行われています。
国際教育にも非常に力を入れており、「一流の国際人」の育成を目指しています。
毎週火曜日を「English Day」と定め、朝礼の祈りや挨拶、授業の一部を英語で行うなど、
日常的に英語に触れる機会を創出しています。また、高2からはフランス語の選択も可能です。
さらに、箱根という立地を最大限に活かした「体験学習」や「探究学習」が充実しています。
近隣の美術館や博物館、箱根湿生花園などでのフィールドワークを通じて、本物に触れる学びを実践しています。
独自の特別カリキュラムとして、
中学では「作法」(茶道)や「礼法」(テーブルマナーや浴衣の着付け、面接指導など)の時間が設けられており、
日本の伝統文化や社会人としてのマナーを学びます。
また、近隣の箱根カントリー倶楽部の協力を得て、プロゴルファーから指導を受ける「ゴルフ」の授業も行われており、
心身の鍛錬と礼儀を学んでいます。
◆ 施設
箱根の緑に囲まれたキャンパスには、充実した学習施設が整っています。
各教室には電子黒板が設置され、ICT教育にも対応しています。図書館や実験室、パソコン室なども完備されています。
特筆すべきは、学園の隣接地に設けられた生徒寮「マリア寮」の存在です。
定員40名のこの女子寮は、単に遠距離通学者のための施設というだけでなく、
共同生活を通して人間的成長を図る「教育寮」としての側面も持っています。
通学時間や距離に関わらず、短期(半年・1年)の入寮も可能となっており、
自立心や協調性を育む場として機能しています。
寮には1人部屋と2人部屋があり、寮監が常駐して生徒たちの生活をサポートします。
中学生は原則として毎週金曜日に帰省し、日曜日に帰寮するというリズムで、家庭との連携も大切にしています。
4 併願戦略
函嶺白百合学園中学校を第一志望とする場合、その独特の教育環境、
カトリック系の校風、小規模であること、そして寮があることを踏まえた併願戦略が必要です。
偏差値だけでなく、学校の雰囲気や教育方針がお子様に合うかどうかを重視して併願校を選ぶことが大切です。
◆ チャレンジ校
函嶺白百合学園を第一志望とする生徒が、より高い学力レベルに挑戦する場合、
同じカトリック系の女子校が候補になります。
例えば、同じ白百合学園の姉妹校である「湘南白百合学園中学校」(藤沢市)は、教育理念に共通点を持ちながらも、
より高い偏差値帯に位置します。
また、神奈川県内のカトリック系女子校として、「聖セシリア女子中学校」(大和市)も、
校風は異なりますが併願の候補となり得ます。
ただし、函嶺白百合の入試が2科中心であるのに対し、これらの学校は4科入試が基本となるため、
4科目の準備がどの程度進んでいるかが鍵となります。
◆ 同等校
偏差値帯や地域性、校風が比較的近い学校としては、神奈川県西部の学校がまず挙げられます。
「相洋中学校」(小田原市、共学)は、地域的に最も近い併願先の一つです。
また、鎌倉・湘南地域の女子校、
例えば「北鎌倉女子学園中学校」(鎌倉市)や「鎌倉女子大学中等部」(鎌倉市)なども、
通学可能圏や偏差値帯から併願校として検討されることがあります。
これらの学校も訪問し、函嶺白百合とは異なる校風や教育内容を比較検討することが重要です。
◆ 安全校
合格の可能性をより確実にするための併願校としては、
同じカトリック系で寮制度を持つ「不二聖心女子学院中学校」(静岡県裾野市)が挙げられます。
静岡県に位置しますが、寮があるため広域からの受験生が集まり、
函嶺白百合と教育方針(カトリック、女子教育、自然豊かな環境)の共通点が多い学校です。
また、神奈川県内のカトリック系女子校として「聖和学院中学校」(逗子市)も、
偏差値帯や入試日程の組み合わせによっては併願先として考えられます。
これらの学校も、函嶺白百合と同様に、偏差値だけでは測れない独自の魅力と教育を実践しています。
5 進学実績
函嶺白百合学園は、小規模校ならではの手厚い進路指導を特徴としています。
生徒一人ひとりの希望と適性に応じた進路実現をサポートしており、卒業生は多様な分野へと羽ばたいています。
卒業生数(2024年度は26名、2023年度は30名)が少ないため、
合格者数の絶対数は多くありませんが、その内訳は注目に値します。
カトリック系大学への推薦制度も充実しており、系列校である「白百合女子大学」や、
同じカトリック系トップ校である「上智大学」への進学者が毎年安定して見られます。
2024年度の大学入試(重複合格を含む)では、上智大学へ2名、白百合女子大学へ2名が合格しています。
過去3年間(2022年度から2024年度)の実績を見ると、
早慶上智といった難関私立大学へもコンスタントに合格者を出しています。
(2024年度2名、2023年度3名、2022年度6名)
GMARCHレベルの大学や、薬学部、看護学部、美術大学など、
生徒の関心に応じた多様な進路選択が実現されているのが特徴です。
国公立大学への進学実績は過去3年間ではありませんが、
これは学校が難関国公立大学への進学実績を最優先するのではなく、
生徒一人ひとりが望む「一流の国際人」としてのキャリアを歩むことを第一にサポートしている結果とも言えるでしょう。
6 まとめ
函嶺白百合学園中学校は、箱根の豊かな自然という比類なき環境の中で、
キリスト教の愛に基づいた「心の教育」を実践する、非常にユニークな女子校です。
少人数制を徹底し、生徒一人ひとりの「人格の幅を広げる」ことを最優先する教育は、
競争が激化する中学受験において、確かな価値を持つものです。
英語教育や礼法・作法といった独自のカリキュラム、そして「マリア寮」という共同生活の場は、
生徒の自立心と他者への思いやりを育む土壌となっています。
偏差値や進学実績の数字だけでは決して測ることのできない、温かく、深い人間教育がここにはあります。
お子様の個性を大切に伸ばし、他者の立場で考えられる豊かな心を育んでほしいと願うご家庭にとって、
函嶺白百合学園中学校は非常に魅力的な選択肢となるはずです。
中学受験は、お子様一人ひとりの特性に合った学校を選ぶことが何よりも大切です。
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