社会で「考える」とはどういうことか?
24年 東京都公立高校入試問題 社会の大問2の問1を見て、いろいろなことを考えてみたいと思います。
問題
解答
まず、解答から。
選択肢を確認します。まず地図中の国から。
Aはタイ、Bはサウジアラビア、Cはエチオピア、Dはポーランド。
A、Bは中学生なら普通に知っておいて欲しい国ですが、C、Dはやや細かいでしょうか。
文章を見てみると、
① 首都が高地(標高2350m)にある。
② 月ごとの気温の変化が小さい。(ずっと同じくらいの気温が続く)
③ コーヒーの生産がさかんで、原産地である。
ということがわかります。
これだけだとわからないという場合は雨温図も見てみましょう。
ア〜エの雨温図はA〜D地点のものです。
ウは明らかに乾燥帯の気候ですね。
ということは、Bサウジアラビアのものです。
また、エはずっと30度程度の気温が続いています。
つまり、熱帯気候だとわかります。
これは、Aタイでしょう。
すると、残るのはCエチオピアとDポーランドです。
Dポーランドはヨーロッパにあり、
この地図を見ると北海道より北にあります。
相当寒くなるでしょう。
ここから、Dポーランドの雨温図はアだとわかります。
すると、残っているのはイ。
これがCエチオピアです。
その上で、条件の②にあう雨温図を探します。
月ごとの気温の変化が少ないものですから、イかエでしょう。
しかし、標高2350mの地点が熱帯とは考えずらいです。
ということで、正解はCエチオピア、雨温図はイとなります。
何ができて欲しいか?
ここからは推測も多分に入ります。
私がこの問題を解くと、条件③から、コーヒーの原産地はエチオピア、で解けてしまいます。
問題は中学生にこの解き方を求めるか、です。
現在の入試は細かい知識を問うというよりも、
知っている知識を使って考えるという方向の問題になっています。
したがって、コーヒーの原産地はエチオピアという知識を知っていて欲しいという問題だとは考えづらいでしょう。
そこで考えたのが上記のような解き方です。
このポイントはA〜Dがなんという国かを知らなくても解けるという点です。
中学生で世界の気候は「熱帯・温帯・亜寒帯・冷帯・乾燥帯・高山性気候」を区別することです。
この場合、代表的な場所がわかるということも含みます。
すると、Aは熱帯、Bは乾燥帯、Dは冷帯ということは国がわからなくても判断できるでしょう。
また、A、B、D地点に高山がないということもわかるはずです。
したがって、C地点がなんという国でどんな地形かがわからなくても解けるのです。
この解き方を消去法じゃん!というのは簡単です。
でも、消去法というのはいろいろなことを考えて消していかなくてはいけないのですから、
まさに、「考えて答えを出す」ということをしているわけです。
もちろん、エチオピアについて、コーヒーについて知っていて解くということを
否定するものではありません。
ただ、知らないものが出たらどうしようもありません、という受験生にはなってほしくないのです。
知らない、そこから問題は始まります。