無意味な勉強と意味のある勉強
一生懸命勉強しているけど成績が上がらない。
そのような生徒さんは少なくありません。
それは「意味のある勉強」をしていないからだ、といえます。
しかし、意味のある勉強とは何でしょうか?
意味のない勉強というものがあるのでしょうか?
宿題の取り組み方
例えば、漢字練習の宿題を出します。
漢字を10個提示し、
これを練習してきてね。来週テストするよ。
という宿題です。
翌週、テストをしてできない生徒さんはどんな生徒さんでしょうか。
まず、やっていない生徒さんです。
当たり前です。
次に、やっただけの生徒さんです。
やっただけというのはどういう状況でしょうか?
ノートを見てみると、私が出した漢字が1回ずつ練習されています。
でも、ただそれだけです。
そこで、これじゃ足りないよというと、
「じゃあ何回練習すればいいんですか?」
と言われます。
5回といえば5回練習してくれますが、
ただそれだけ。
私が要求しているのは「漢字が書けるようになること」です。
何回練習しても書けるようにならなければ意味がありません。
だから、練習は3回ずつでいいんです。
でも、練習後自分でテストしてみて、できないものをまた練習。
またテストをして…。これを全部できるようになるまで繰り返す。
テストの前日、あるいはテスト当日授業前に最後にもう一度テストをしてみる。
このような取り組みを要求しているのです。
(学校の宿題をいい加減にやっていいというつもりはありませんが)
学校の宿題ならば、「提出した」ことで評価されるかもしれません。
しかし、受験勉強において、「やった」「提出した」ことは
厳しい言い方をすれば何の意味もありません。
宿題は「これができるようになってほしい」という目的があって出されています。
その目的をきちんと自覚できているか、
そして、その目的を達成するために勉強をしているのか、です。
暗記だけに頼る勉強
ただひたすらに暗記に頼る勉強も意味がない勉強の一つです。
「覚えればいいんでしょ!」
という生徒さんがいますが、それで成績が上がらない生徒さんは
本当に暗記しているだけなのです。
上の例でいえば、漢字をただ暗記しているだけになっている場合です。
読み方を覚えていない、意味を覚えていないという場合すらあります。
練習の時とテストの時で例文を変えたり、出題順を変えたりというのは
普通のことだと思うのですが、
それだけで得点できなくなるという生徒さんもいるのです。
読み方がわからない漢字をただ形で覚えているというのはすごいと思うのですが、
来週のテストをクリアするためだけに一生懸命覚えているという生徒さんは
少なからず存在します。
これは他の科目でも言えることです。
数学の宿題で解答と解説にある解き方を必死に覚える。
ただ覚えているだけなので、ちょっと変えられただけで対応できなくなる。
やはり勉強は意味を理解していくべきものなのです。
結局意味のない勉強とは?
上に例を挙げたのは「宿題」と「暗記」でした。
何が意味がないかというと、
・ 目的意識がない。
・ やること自体が目的になっている。
・ 覚えればいいと思っている
の3点が代表例です。
逆にいえば、これをクリアできれば意味のある勉強になる、
つまり、成績が上がるということです。
対策
まず、生徒さんにどうやって目的意識を持たせるか、です。
私はそのような時に宿題を出すときにゴール地点を宿題にします。
例えば、上にあげた漢字の練習でしたら、
「来週この漢字をテストします。
ただし、テストの時例文はこのままではないかもしれません。
また、出題順も変えます。
もしかしたら読み方も出題するかもしれません。
宿題はこのテストで満点を取ることです。
満点を取れるように練習をしてきてください。」
というような宿題です。
「やる」こと自体は絶対に宿題にしません。
もちろん、得点がうまくいかなかったときに練習の仕方を生徒さんと相談して変えていきます。
次の対策として、生徒さんに説明させるというものがあります。
宿題の問題ができていた時に、その問題の解説を(全てでなくても)してもらうのです。
これはわかっていなければ説明できません。
この説明というのはもっと単純なことでもできます。
例えば、漢字の宿題が出たときに、
「先生はあなたに何をして欲しくてこの宿題を出したのかな?」
と聞きます。
「漢字の練習をしてほしい。」
という回答が返ってくることはよくあります。
ここで負けてはいけません。
「何のために漢字の練習をしてほしいのかな?」
これに対して答えられれば十分でしょう。
万一、
「生徒を苦しめたいから」
という回答だったら、お話しする必要があります。
目的意識
そもそも、塾に通う理由は何でしょうか?
成績を上げたい、志望校に合格したい。
いずれにしろ、「テストでの得点をあげる」ということが絡んできます。
これが塾に通う目的なのです。
だから、ここの部分が
「親に言われたから」
「友達が通っているから」
としか答えられない生徒さんはまずその部分を変えなくてはいけません。
「親に言われたから」というのが本当だとしても、
実際に通う目的は「テストの得点を上げる」にしていかなければ効果がありません。
集団指導塾でも個別指導塾でもこの部分は指導しているはずです。
先生が話していくのは当然として、
集団指導塾ならば周りの生徒さんとの切磋琢磨もあるでしょう。
個別指導塾ならば、先生が生徒さんの状況に合わせた声かけができます。
それも含めて生徒さん一人一人に合った塾を選び、
目的意識を持った、意味のある勉強をしてください。
もちろん、以上のことは学校の勉強でも同じことです。
常に考えながら勉強をしましょう。