地図記号が廃止される?

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Soleadoの塾生も色々な学校を受験しています。
彼等が受験から帰ってきて、質問を受けることがあります。
その中に、「工場の地図記号ってなくなったの?」というものがありました。

授業でお話ししたはずなのですが、忘れてしまったようですね。
では、そのことについて述べたいと思います。

かつて地図でよく見かけた歯車のような形をした「工場」の地図記号は、現在は使われなくなりました。

具体的には、2013年(平成25年)に改訂された地図記号から廃止されています。

なぜ工場の地図記号は使われなくなったのでしょうか?

主な理由は、時代の変化により、地図に求められる情報が変わってきたためです。

  • 工場の多様化
    かつては、大規模な工場が地図記号で示される対象でしたが、現代では工場の種類が非常に多様化し、
    規模も大小様々です。一律の記号で表すことが難しくなりました。
  • 地図情報の詳細化
    現在の地図では、建物名や施設名が詳細に記載されることが一般的です。
    そのため、工場の名称(例:「〇〇工場」「〇〇製作所」)を直接記載する方が、より分かりやすく、実用的です。
  • 情報過多の回避
    地図に記号を多用すると、情報が過多になり、見にくくなってしまう可能性があります。
    より重要な情報を優先的に掲載するために、工場の記号は廃止されました。

現在の地図ではどうなっているの?

現在の地図では、大規模な工場や重要な工場は、名称で表記されるようになっています。
例えば、「トヨタ自動車元町工場」や「JFEスチール製鉄所」のように、具体的な名称が記載されています。
小規模な工場は、地図に記載されない場合が多いです。

工場の地図記号の歴史

ちなみに、工場の地図記号は、時代とともに変化してきました。

  • 明治時代の初期の地図では、煙突の記号が使われていました。
  • その後、様々な記号が使われた後、戦後の「昭和30年図式」で現在の歯車のような記号に統合されました。
  • 平成に入り、地図情報のデジタル化が進む中で、名称表記が主流となり、2013年に記号が廃止されたという流れです。

工場以外に廃止された地図記号

工場以外にも過去に廃止された地図記号はいくつかあります。主なものを以下に挙げます。

主な廃止された地図記号

  • 桑畑(くわはた)
    養蚕業の衰退により、地図に記載するほど多く存在しなくなったため、2013年に廃止されました。
    工場と同時に廃止されています。
  • 電報・電話局(でんぽう・でんわきょく)
     電話事業の民営化(NTTの発足)や携帯電話の普及により、地図に個別に記載する必要性が薄れたため、
    1986年に廃止されました。
  • 塩田(えんでん)
    塩の生産方法が変化し、塩田がほとんど見られなくなったため、1986年に電報・電話局と同時に廃止されました。
    現在、塩は主に工場で生産されています。
  • 鉱山(こうざん)
    かつては様々な鉱山の記号がありましたが、閉山や採掘方法の変化などにより、
    2006年に一部統合・変更され、その後も整理が進んでいます。
    現在使用されているのは「採石地」と「鉱山(坑口)」の記号です。
    かつては鉱石の種類ごとに記号が分かれていた時期もありましたが、それらは統合されています。

あまり記載されなくなった地図記号

  • 灯台(とうだい)
    航海技術の発達により、地図記号としての重要性が低下したため、
    小縮尺の地図(広範囲を示す地図)では省略される傾向にあります。
    ただし、重要な灯台は現在も記号で表示されています。
    完全に廃止されたわけではありませんが、以前に比べると使用頻度は減っています。
  • 城跡(しろあと)
    文化財保護の観点から、詳細な位置を示すことが適切でない場合があるため、
    表示が控えめになっている傾向があります。
    完全に廃止されたわけではありませんが、以前に比べると目立たなくなっています。

地図記号の変遷と社会の変化

地図記号は、その時代の社会や産業の様子を反映する鏡のようなものです。

上記の例からもわかるように、技術の進歩、産業構造の変化、社会情勢の変化などが、
地図記号の廃止や新設に影響を与えています。

  • 情報伝達手段の変化: 電報・電話局の廃止は、情報伝達手段が電話やインターネットに移行したことを示しています。
  • 産業構造の変化: 桑畑や塩田の廃止は、第一次産業の衰退と工業化の進展を反映しています。
  • 社会ニーズの変化: 老人ホームや風車の記号の新設は、高齢化社会や環境問題への関心の高まりを反映しています。
  • 防災意識の高まり: 近年では、自然災害伝承碑の記号が新設されるなど、防災意識の高まりも地図記号に反映されています。

まとめ

工場の地図記号は、時代の変化とともに地図に求められる情報が変わったこと、
地図情報の詳細化などにより、2013年に廃止されました。現在は、名称で表記されることが一般的です。

工場以外にも、電報・電話局、塩田、桑畑など、様々な地図記号が過去に廃止されています。

これらの変遷は、社会の変化や技術の進歩を反映しており、地図記号の歴史を紐解くことで、
その時代の社会背景を理解する手がかりとなります。
(そのまた昔は銀行の記号などもあったようです。現在だったら銀行だらけになってしまいますね。)

また、廃止された地図記号を授業で習うことに疑問を持つ方もいるかもしれません。
これについては、過去の地形図を見る必要がある場合がある
(過去の地形図が出題されることがある)
から、と思ってください。

特に、現在と過去の比較をするときなどは二つの地形図が出題されます。

過去のものも覚えておくと、理解が進みますよ!

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