国語・物語文で読み取ること2

物語文の読み取りの2回目の記事です。

前回は物語文のテーマである「成長」というお話をしました。
ところで成長は
「初めはこんな状態」→「最後はこんな状態」
という流れでというお話をしました。

では、「初めは」「途中は」「最後は」というのはどのように分けたらいいのでしょうか?

今回は「場面」についてお話ししたいと思います。

場面分けとは

物語文では「いつ」「どこで」「誰が」「何をした」を読み取る。
こんなことを聞いたことがあると思います。

このうち「いつ」「どこで」が場面だと思っていいでしょう。

例えば次の文章を読んでみてください。

むかしむかしあるところにおじいさんとおばあさんがいました。

おじいさんは山に柴刈りに、おばあさんは川に洗濯に行きました。
おばあさんが川で洗濯をしていると、大きな桃が流れてきました。
おばあさんは桃を拾うと、おじいさんを喜ばせようと、家に持って帰りました。

おじいさんは大きな桃を見て大喜び。
二人は早速食べようと、桃をふたつに切りました。
すると、桃の中から元気な赤ちゃんが出てきたではありませんか。

文章自体は今作ったものですが、内容は有名な「桃太郎」です。

では、この文章を「場面分け」してみましょう。

場所で分ける

これは「場所」で場面を分ければいいですね。
おじいさんが山に行ったという情報はありませんが、
おじいさんが山にいるところは出てきません。

一方おばあさんが川にいる場面はお話の中に出てきます。
ここは、
「川で」「おばあさんが」「桃をひろった」
ということが起こりました。

ということは、ここは「川」という場所です。
これが「場面分け」ですね。

進めましょう。
その後は「家」に持って帰っています。
そこで起こったことは
「家で」「おじいさんとおばあさんが」「桃を割った」
「家で」「赤ちゃんが」「桃の中から生まれてきた」
ということが起こっています。

ということは、ここは「家」という場面です。

ここでは「場所」で分けました。
これは読んでいて比較的わかりやすいと思います。

文章を読むときに、場所が変わったときに
文章の上に「場所」を書いておくのがおすすめです。

時間

時間が変わっても、場面が変わります。

しかし、これが意外と難しいのです。

では、例を挙げてみます。

桜が満開の頃、その学校の体育館では入学式が行われた。
その時、僕は彼女を初めてみた。
彼女は特別綺麗な女性ではなかったが、なぜか印象に残る容姿だった。

そして、ゴールデンウィークが終わった頃、合唱祭が行われた。
体育館で合唱祭の準備をしていた僕は、大きな看板が落ちてきて、避けきれず怪我をしてしまった。
その時に保健室まで連れて行ってくれたのが彼女だった。
僕は、初めて彼女と二人で話をした。

さて、この文章ではどうでしょうか。
場所はずっと「その学校の体育館」です。

ところが、前半は「桜が満開の頃」とあります。
入学式だから、4月と考えるのが普通でしょう。
「4月に」「体育館で」「入学式が行われた」
「4月に」「僕は」「彼女を初めてみた」

後半は「ゴールデンウィークが終わった頃」です。
「5月に」「体育館で」「合唱祭が行われた」
「5月に」「体育館で」「僕は」「怪我をした」
「5月に」「僕は」「初めて彼女と二人で話をした」

この2つは「4月」と「5月」という時間の違いが場面の違いになっています。
これが時間で分けるということです。

ただし、これは少し難しい時もあります。
例を見てみましょう。

今日、僕はテストでカンニングをする。
カンニングペーパーはもう作ってある。
朝学校にクラスで1番に行った。
静かな教室で、僕は自分の机の中にカンニングペーパーを忍ばせる。
誰かに見られないかとドキドキした。
ドアが音を立てて開く。
そちらを見ると、同級生が立っていた。
「おはよう。勉強した?」
「ぜんぜんしてないよ。」
他愛もない話をして、テストの1日が始まる。
次々と同級生が来る中、僕はずっとドキドキしていた。
ガラッと音を立ててドアが開く。
そこに立っていたのは部活の顧問だ。
なんで?と思っていると、先生は
「今日は担任の先生が出張なので、私がきた。」
といった。
顧問の先生はいつもお前のことは全部お見通し、というような目で僕を見る。
カンニングのことも全部ばれているんじゃないか。
そう思うと、顔がカーッと熱くなった。

いかがでしょうか。
月日が経っているわけではありません。
同じ日の、朝の出来事です。

しかし、途中で「先生が入ってくる」という出来事があります。
そして、ここから主人公の気持ちが大きく変わっています。
当然、「先生が入ってきた」のですから時間が経っています。

これをどのように考えればいいのでしょうか。
私は「人の入れ替えは時間が変わる」と教えています。

人が増えた・減ったということは、時間が経つことを表現しています。
ということは、人が増えた・減ったという表現があったら、そこに線を引いておいていいと思います。

この時にもう一つ気をつけてほしいのは
「人の増減」が登場人物とは限らないということです。

例えば、
電車に乗っていて、ある駅でたくさんの乗客が降りた。
電車の中は私一人になった。
という文章があったとしましょう。

この時の「たくさんの乗客」が物語の登場人物でしょうか?
登場している人なのかもしれませんが、
登場人物というわけではなさそうです。

でも、確実に主人公を取り巻く状況は変化しています。
(上の文章だけではなんのことやら分かりませんが)
したがって、これも「時間の変化」として場面分けの材料になります。

まとめ

長くなってしまったので、今回はここまでにします。

物語文を読む時の「場面分け」の基本について書きました。
そして、大切なポイントですが、
場面分けしたらそれを本文に書き込んでおきましょう。
間違えても構いません。
まずは自分で考えて、それを書き込んでおく。

これを繰り返すと、分けたことが問題を解く役に立つことが出てきます。
それが実感できれば十分。

もちろん、できれば指導者に見てもらった方がいいでしょう。
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