共通試験地理B 2024年 第1問 問6
今日は共通試験の問題を見てみましょう。
問題
解答
考えやすいものからいきましょう。
最高気温
次の表は、日本の観測史上高温を記録したものを10位まで表示したものです。
順位 | 観測地点 | 年月日 | 温度 |
---|---|---|---|
1 | 高知県四万十市 | 2023年7月25日 | 41.0℃ |
2 | 岐阜県多治見市 | 2007年8月16日 | 40.9℃ |
3 | 埼玉県熊谷市 | 2018年7月23日 | 40.8℃ |
4 | 東京都青梅市 | 2023年11月23日 | 40.8℃ |
5 | 岐阜県可児市 | 1994年8月9日 | 40.7℃ |
6 | 愛知県名古屋市 | 1942年8月16日 | 40.6℃ |
7 | 愛知県名古屋市 | 1933年8月12日 | 40.6℃ |
8 | 岐阜県美濃市 | 2007年8月16日 | 40.5℃ |
9 | 岐阜県関市 | 2007年8月16日 | 40.4℃ |
10 | 愛知県豊橋市 | 2007年8月16日 | 40.3℃ |
これを見ると、どこが多いでしょうか?
圧倒的に岐阜県が多いことがわかります。
これは、内陸部であるということです。
地理の気候では「海洋性気候」と「大陸性気候」という言葉がよく出てきます。
大雑把にいうと
海洋性気候 ・・・ 年較差(最暖月平均気温と最寒月平均気温の差)が小さく、降水量は多い
大陸性気候 ・・・ 年較差(最暖月平均気温と最寒月平均気温の差)が大きく、降水量は少ない
さて、日本ではどうでしょうか。
当然ですが、同じ傾向があります。
つまり、内陸部は気温の差が大きくなる = 夏暑く、冬寒い ということです。
こうやってみると、岐阜県以外にも埼玉県熊谷や東京都青梅などはわかりやすく内陸部です。
ということは内陸部に多いのは◾️です。これが最高気温でしょう。
気をつけなければいけないのは、⚪︎ではないという点。
南西諸島に多いので、
「南方に多いということはきっと気温が高いんだ!」と思いがちです。
次の表を見てください。
東京と那覇の年間最高気温を10年分表にしました。
年 | 東京 | 那覇 |
---|---|---|
2014 | 35.1℃ | 31.8℃ |
2015 | 36.7℃ | 32.7℃ |
2016 | 36.8℃ | 32.9℃ |
2017 | 37.5℃ | 33.3℃ |
2018 | 37.4℃ | 33.2℃ |
2019 | 38.5℃ | 33.5℃ |
2020 | 37.8℃ | 33.4℃ |
2021 | 37.5℃ | 33.5℃ |
2022 | 38.0℃ | 33.6℃ |
2023 | 38.3℃ | 33.7℃ |
これを見ると、東京は35℃以上に必ずなっています。
特に、2017年以降は必ず37℃以上になっています。
那覇についても近年は気温が高い傾向にありますが、35℃になることはないことがわかります。
東京はヒートアイランドがきついという事情がありますが、
やはり沖縄は海洋性気候ですので、そこまで気温が上がらないということです。
降水量
日本で降水量が多い地点はどこでしょうか?
まず知っておいてほしいのは三重県。尾鷲の雨温図は有名ですし、大台ヶ原も降水量が多いことで知られています。
あとは、南西諸島。那覇の雨温図も頻出ですし、最近中学受験ではありますが、屋久島と種子島の雨温図もよく見かけます。
つまり、台風の影響が強い場所で降水量が多くなりやすいということです。
三重県と沖縄県と覚えていれば△が選べるのではないでしょうか。
最大風速
風は海上の方が強くなります。山など遮るものがないからです。
高校地理で言えば、大陸の西側は偏西風の影響が強く(西からの風が強い)、
東側は季節風の影響が強い(西からの風は弱くなっている)ということがよく使う考え方です。
残りは⚪︎しかありませんが、沿岸部に多くなっています。
特に、西側に多いというのは偏西風の影響ということでしょう。
また、南西諸島に多いのは台風の影響だと考えられます。
以上のことから⑤が正解となります。
理解してほしいこと
気候がどのように決まるのかをしっかりと理解しましょう。
共通試験ではケッペンの気候区分が直接問われることはほとんどありません。
しかし、気候要素と気候因子、そして、気候が決まるしくみは理解しておく必要があります。
また、高校地理はどうしても世界に目が行きがちですが、日本のことも大切です。
日本だからといって考え方が変わるわけではありませんが、
最高気温の地点などは普段から興味を持っておくことが大切でしょう。
おまけ
次の問題は明治大学附属明治中学校・2023年の問題です。
興味があったら考えてみてください。
今回触れたいのは×印です。どの発電所かわかりますか?
正解は風力発電。
先ほど述べたように「沿岸部の方が風が強い」「西側の方が風が強い」からわかります。
地理は小学生・中学生・高校生全て同じ科目です。
「考える」ことができると一番有利になる科目でもあります。
さあ、一緒に頭を使う地理の世界を楽しみませんか?