共通試験 世界史ってどんな試験?
今回は共通試験の世界史を見てみたいと思います。
問題
2024年共通試験 世界史B 第2問 問2より
解答
まず、単純に答えを出しましょう。
Ⅰについて。共和政末期のローマとあります。ということは、紀元前1世紀のことでしょう。
そして、マニ教ですが、ペルシアでマニが創始した宗教です。
マニを保護したのはササン朝のシャープール1世。
シャープール1世はローマ皇帝ウァレリアヌスにオデッサの戦いで捉えられたことで知られています。
ということは、共和政末期のわけがありません。
もちろん、ここまで考えなくても、「マニ教は3世紀」と覚えておいても問題はないと思います。
Ⅰは比較的知識でいけるように思います。誤文です。
Ⅱですが、19世紀後半の帝国主義の時代のことです。
ある歴史家がアレクサンドロスを「アジアを文明化した使徒」と評価したという文章です。
アジアを文明化したということは、もともとアジアは文明ではなかったということです。
それを文明化した素晴らしい人だよ、という評価は
そのまま当時の欧米列強と重なります。
つまり、欧米列強の植民地支配を正当化しているということでしょう。
世界史でこのような考え方が出てくるので有名なのは
ラス=カサスの『インディアスの破壊に関する簡潔な報告』でしょうか。
同じようなことが19世紀の欧米列強でも起こっていたことは想像がつきます。
自分たちのやっていることを正当化しているのですね。
例えば、以下のような資料があります。
【 資料 】
スペンサーは、生物学上における文明人(ヨーロッパ人)と野蛮人の相違を指摘する。たとえば、「脳髄」をおおう骨の大きさが大きいほうが高等であり、頸その他の骨も、動物より人間においてより頑健であり、さらにヨーロッパ人の方が野蛮人よりもより頑健である」と大まじめでいう。また「ヨーロッパ人は、子供のときに有していた下等人種に類似した特報―たとえば鼻格の扁平―を成長にしたがって消していく。つまり、野蛮人種の像跡が文明人種のそれに変化する」と同質性から異質性への変化を強調している。
(福島県高等学校世界史学習資料集編集委員会『世界史資料集』より)
もちろん、これを知らなくても問題ありません。
ただ、「こういう時代なんだ」ということは理解しましょう。
また、考えて想像がつかないとこの問題を解くことはできません。
Ⅱは知識だけでなく、考えることが求められる問題だと言えるでしょう。
Ⅰが誤文、Ⅱが正文です。よって正解は③です。
勉強するべきこと
基本的には正誤判定ができるようになること。
そのためにたくさんの知識が必要なのはいうまでもありません。
ただ、それがいつ・どの地域のことなのかなどを把握する必要があります。
また、その時代はどのような時代かも理解しなくてはいけません。
難関私大に比べれば、細かい知識は必要ないかもしれませんが、
資料集まで見ておくなどの準備が必要だと言えます。
通史をしっかりと学習し、その際に共通試験の傾向にあった問題を演習することが効果的でしょう。
もちろん、知識は一問一答などでしっかりとつける必要があります。
現役生の方は、目安として(夏休み等長期休暇を除いて)自習時間として毎日1時間世界史に使えればいいと思います。
それだけでいいの?と思うかもしれませんが、これだけ勉強するのは意外と大変でしょう。
あとは、効果的な学習をするだけです。
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