高校入試 内申点ってそんなに大切?

ネットニュースを見ていたら、こんな記事に出会いました。

女子プロレスラーでタレント・ジャガー横田の夫で、医師の木下博勝氏が9日に自身のインスタグラムを更新し、高校受験での「内申点」について私見をつづった。

 前日の夫婦でのお花見姿をアップしていた木下氏は「おはヨネスケ珍しく、昨日の投稿にJJからコメント。夜桜いいですね、と。(笑)長野はまだ桜咲いてないのかな?」とコメント。

 その上で「ゆたぼんの高校受験の件で、高校に合格した友人よりもテストの得点は2倍以上なのに不合格になったを見て、自分の弟の時と同じかぶってしまって、こころが痛くなりました」と不登校の「少年革命家」として日本一周を敢行したユーチューバーの“青年革命家”ゆたぼんが高校受験不合格となったことに言及。ゆたぼんは友人と自己採点して「僕の方が点数が倍以上だった」としたが、中学1、2年と不登校だったことで「内申点」の差が響いたと自己分析していた。

 公立高校受験では筆記試験の結果とともに内申点も評価される現状があり、木下氏は「1991か1992年が弟の高校受験でした。志望校に不合格だったのですが、合格した同級生よりは得点は、はるかに上でした。弟の内申点が悪い理由は、定期試験が悪いわけでも、不登校や遅刻が多いわけでも無く、単に先生に嫌われていて、授業態度が悪いと判断された為でした」と明かし、「高校受験不合格者は学年で1人、どんな気持ちだったかと思うと、今も心が痛いです。その時は亡き父の代わりに中学に行って、校長や担任とかなり話し合いました」と回顧。

 「結局、友達が1人もいない遠い高校に通う事になり、弟の人生は狂っていったように思います。それから30年以上経っているのに、未(いま)だにこんな事が起こっているなんて…」とし、「公立高校の入試制度、見直すべきじゃないのかな。内申書が合否判定に大きく関係するのって、必要なのかな?私立の判定と同じにすべきでは?推薦等だけの活用で、良いのでは?」と指摘。

 息子の“JJ”こと木下大維志くんは現在、長野の私立高校で寮生活を送っている。「内申点って、その中学のレベルによって、かなりのハンデが生じるよね?何で見直さないのかな。それとも、現在は是正されてるなかな。JJの入試の時は、そう感じなかったけど」といい、「先生の顔色を伺(うかが)いながら過ごす中学生は、昭和平成で終わりでいいのでは?そうすると、学校の現場が混乱するのかな?現場も知らないのに勝手な事言うな!と怒られるかもしれませんが、JJの通っていた中学は、普段の試験の点数が内申に直結していた気がします」とつづった。

スポーツ報知 2024年4月9日

なるほど。と思いました。

さて、ここからいろいろ書いていきますが、まず大前提として、
ゆたぼん氏について、あるいは、この記事に掲載されている各氏に対して
いろいろな意見をお持ちの方がいるとは思いますが、
私は批判的にみているわけではありませんし、この記事で批判するつもりもありません。
皆さん、頑張っていらっしゃるのでしょうし、
私がとやかくいう問題ではないと思います。

その上で、気になったのは

「当日の得点が2倍でも落ちる」

そんなことある?と思うのが人情でしょう。
また、そう聞くと、内申点って不当だ!という気持ちも出てきます。

そこで、実際はどうなのか考えてみたいと思います。

得点シミュレーション

ゆたぼん氏は沖縄県で公立高校入試を受験したのだと思います。

沖縄県公立高校入試のしくみ(LINKになっています)はSoleadoの記事にもしましたので参考にしてください。

他の県でもシミュレーションしてみたいので、以下の状況を想定します。

生徒A

調査書 1年生 オール1、2年生 オール1、3年生 オール2

学力検査 ① 得点率50%の場合、② 得点率80%の場合

生徒B

調査書 1年生 オール3、2年生 オール3、3年生 オール3

学力検査 常に生徒Aの半分。つまり、① 得点率25%の場合、② 得点率40%の場合

それでは、計算してみましょう。

沖縄県での計算

ケース①

沖縄県公立高校入試は各科目60点満点で5科目です。

60点満点というのが珍しいですね。(他の県でないわけではありません)

生徒Aから考えます。
得点率は50%ですから、学力検査は150点です。

そして、調査書。各学年の点数を出します。5科目はそのまま、実技4科目は1.5倍です。

1年生・2年生は(5✖️1)+(5✖️1.5)= 12.5です。
3年生は(10✖️1)+(10✖️1.5)= 25です。
合計は37.5。これに165分の300をかけるのですから、
37.5 ✖️ 300 ➗ 165 = 67.18…

合計すると、約217点です。

次は生徒Bです。

学力検査は25%ですから、75点。

調査書は各学年(15 ✖️ 1)+(15 ✖️ 1.5)=37.5
ということは、3学年合計112.5点です。

これに165分の300をかけて204.54…。

合計は75 + 約204 =279点

ということは、生徒Bの方が上位に来てしまいました。

ケース②

調査書の点数は同じですから、学力検査の得点を変えればいいだけですね。

生徒A

調査書 67 + 学力検査 240 = 307

生徒B

調査書 204 + 学力検査 120 = 324

やっぱり、生徒Bの方が上位に来てしまいました…

東京都の場合

ケース①

東京都公立高校入試のしくみ(LINKになっています)も記事にしましたのでご参照ください。

東京都で5科目の試験がある高校を受験した場合です。
EASTーJについては2人とも満点だったとしましょう。

生徒A

学力検査 250点
調査書 26点
EASTーJ 20点

これを計算すると
(250 ✖️ 700 ➗ 500)+(26 ✖️ 300 ➗ 65)+ 20 = 490

490点です。

生徒B

学力検査 125点
調査書 39点
EASTーJ 20点

これを計算すると
(125 ✖️ 700 ➗ 500)+(39 ✖️ 300 ➗ 65)+ 20 = 375

375点です。

ここでは生徒Aの方が上位に来ました。

ケース②は計算するまでもないので、割愛します。

千葉県の場合

千葉県公立高校入試のしくみ(LINKになっています)も記事にしました。
どうぞご覧ください。

さて、ここでもいろいろな仮定が必要です。
まず「k=1」の学校を受験、かつ、傾斜配点はないものとします。
学校設定科目もなし。調査書は学習の記録以外は考慮しないものとします。

ケース①

生徒A

学力検査 250点
調査書 36点

合計 286点

生徒B
学力検査 125点
調査書 81点

合計 206点

やはり生徒Aの方が上位に来ます。

これもケース②は計算するまでもないので割愛します。

まとめ

どこかの県を批判するために作ったわけではありません。

都道府県によって、ここまで違うということを説明しました。

ちなみに茨城県などではケース①とケース②で結果が変わることもあり得ると予想します。
(これは、2人の結果だけではシミュレーションできないので割愛しました。
 興味のある方は茨城県公立高校入試のしくみを参照してください)

沖縄県は学力検査と調査書の割合が「1:1」であること、
中学1年から3年の調査書が判断基準になることがこのような結果が出た原因です。

東京都は「7:3」(これも学校によっては違う場合があります)であることと、
3年生の調査書しか使わないこと。
千葉県は調査書の割合が小さい(「k=1」という学校で計算したので)ことが
このような結果になった原因です。

もちろん、ゆたぼん氏やそのご友人の得点がここでシミュレーションしたものと
同じである可能性は0%でしょう。

ただ、当日の得点が倍でも不合格、半分でも合格ということがあり得るということです。

もちろん、公立高校に進むことだけが進路ではありません。
私立高校もありますし、通信制の高校もあります。
N高などはすごい話題になっていますよね。

また、高校に通わずに「高等学校卒業程度認定試験」を受験して大学に行くこともできます。
いろいろな道がありますので、調査書(内申点)と公立高校入試の学力検査の得点が全てというわけではありません。

ただ、公立高校に進学したいとなった時に、
このしくみで受験するしかないのも事実です。

中学1年生の時から「受験のために内申点を伸ばそう!」というつもりはありません。
ある意味、それはそれで嫌な生徒ですから。

ただ、勉強に気持ちを向ける部分を大切にして、
行動をしてほしいな、と思います。

そして、皆さんが自分の志望する進路を叶えてほしいと思っています。

ゆたぼん氏について決して詳しく存じ上げているわけではありません。
でも、ゆたぼん氏も希望が叶うような進路に進んでほしいな、と思います。

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