偏差値の高い学校を志望するのはなんのため?〜中学受験〜
中学受験生の保護者様とお話ししていると、
「偏差値⚫︎⚫︎以上の学校でないと行く価値はありません。」
等の発言をよく耳にします。
気持ちはわかります。
わかりすぎるほどわかるのですが、
一旦冷静に考えてみてください。
なんのために偏差値の高い学校を志望するのでしょうか?
偏差値の高い学校とは?
偏差値はどのように決まるのでしょうか?
学校側が決めているわけではありませんね。
(そもそも入学試験の時に学校は各受験生のそれまでの偏差値を把握できません。)
偏差値はその学校を受験し、合格した生徒さんの数値です。
よくある話ですが、
高校が甲子園に出場するとその年は偏差値が上がる。
このような現象は、その年にたくさんの受験生が受験したため、
合格者の偏差値の平均値が上昇したということです。
(おそらく)その学校で行われる教育は昨年と今年、来年で大きく変わることはないでしょう。
それでも偏差値が変化するのです。
去年は行く価値がない学校だったが、
今年は行く価値がある。
こんなことはないでしょう。
つまり、偏差値で学校の教育内容が変わることはないのです。
偏差値の高い学校に進学する利点
ということは、偏差値の高い学校に進学する利点は「生徒」にあるのでしょう。
生徒の成績が一定の集団であるので、教育がやりやすい。
(四則演算がおぼつかない生徒さんと、トップ層の生徒さんが同じ授業をうけるのは
先生の側もきついですよね。)
また、生徒さんたちが「同じような目標を持っている」ということもあります。
極論ですが、高校卒業後就職を目指す生徒さんと大学進学を目指す生徒さんがいる。
その中で自分の進路のための学習に集中できるでしょうか?
別に同じ大学を目指していなくても構いませんが、
勉強をするべき時が同じというのは勉強するには素晴らしい環境だと思います。
つまり、一緒に学習し、生活をしていく仲間を選ぶことができるという点です。
その仲間の偏差値が入学時点では高い、というのが利点になると思います。
中学入試の偏差値
近年中学入試がさかんになってきたとはいえ、
東京都で見てもまだ小学6年生の20%以下しか中学入試をしません。
(23区のうち、中央区、港区、文京区などはかなり高いようですが)
すると、中学入試の偏差値というのは
「小学校6年生の20%だけ」のグループの平均を50とした数値ということになります。
よく言われることですが、
中学入試で偏差値40だから馬鹿にしていたら、
高校入試では偏差値60くらいある!ということがよくあります。
また、中学入試で偏差値40の学校の大学進学実績を調べてみてください。
目安として「GMARCH」の合格者数を見てみましょう。
同じ生徒さんがいくつも合格するじゃないか、と思うかもしれませんが、
それはどこも同じ条件です。
中学入試で偏差値40代の学校でも
GMARCH合格者数が学年の生徒数の半分くらいある学校はあります。
(そんなに見つけるのは難しくないと思います。)
しかし、高校受験の偏差値50代の学校でそれを見つけるのは非常に困難です。
(一貫校は除く)
つまり、中学入試の偏差値はとても高く出るのです。
偏差値60以上を取れるのは、上位約16%の生徒さんです。
しかも、小学6年生全体の20%という集団の中の上位16%です。
全体の3.2%しかいない!ということになります。
偏差値50だとしても、上位50%。
これは小学6年生全体の10%ですね。
偏差値は気にしなくていいの?
決してそんなことはありません。
気にしましょう。
受験生本人が「少しでも偏差値の高い学校にいきたい」と思って勉強する。
それ自体、普通に持つ感情でしょうし、
否定するつもりは全くありません。
しかし、偏差値自体が目的になっては意味がありません。
「お買い得な学校」というような言い方もしますが、
偏差値はそれほどでもないけど素晴らしい教育を行なっている学校はたくさんあります。
教育内容、進学実績など様々なものを総合的にみて志望校を決めるのがいいと思います。
また、お子さんのタイプも考えてあげてください。
偏差値の高い学校で、真ん中くらいの成績になるのと
ちょっと偏差値が低めの学校で、トップの成績になるのと
どちらがいいのか?
(これは性格もあるのでどっちがいいというものではないですね。)
まとめ
今回書いた内容は「わかってるよ!」という方は多いと思います。
でも、自分のこと(自分の子どものこと)になると
なかなか冷静になれない。
そんなこともあるでしょう。
ちなみに、私もそうです。
我が子のことになると、そんな割り切れるものではありません。
でも、その上で、ちょっと偏差値以外を重視してみてほしいのです。
大袈裟でなく、私立中学は日本に星の数ほどあります。
その中から第一志望を選ぶ。これは問題なくできます。
でも、第二志望・第三志望を選ぶ。
こうなると、何かを「妥協」する必要が出てきます。
その時に、「偏差値だけは妥協しない!」ではなく、
偏差値を妥協して色々なところを見てほしいと思います。