開成中の問題より 社会
今年の開成中で出題された問題です。
F〜Gが関東・東山、東北、北海道のいずれかを考えるという問題です。
これをどのように考えるか、です。
もちろん、生乳生産量の割合で全部できるよ!という人はそれで構いません。
でも、この問題はもう少し奥が深いような気がします。
また、このネタはいつかどこかの学校で出題されるような気がしていたネタです。
なぜそう思ったのか?
何を考えれば解けるのかを述べていきたいと思います。
共通試験の問題
次の問題は共通試験・2022年・地理Bの問題です。
これをどのように考えるか、です。
製品について
まず、サ〜スについて。
原料は生乳、製品は牛乳、バター、アイスクリームとあります。
まず、牛乳は生乳と形状も同じようなものです。
乱暴な言い方をすれば、生乳を殺菌して安全に飲めるようにしただけ。
つまり、原料でも製品でも同じような輸送料でしょう。
次に、バターです。
生乳から作るものですが、個体になります。
大きさもかなり小さくなることが想像できます。
小さくなるわけですから、輸送料も少なくなります。
次に、アイスクリームです。
生乳から作るものですが、クリーム状のものです。
多少量は小さくなるかもしれませんが、チーズほどではないでしょう。
そして、最大の問題点は低い温度にしなくてはいけないという点。
つまり、輸送するときに温度管理が必要なので輸送料が大きくなります。
このうえで、文章を見てみます。
サ:製品に比べて原料の輸送量が多くかかる、とあります。
これは、バターが適当だと思います。
シ:原料と製品の輸送料はほとんど変わらない、とあります。
これは、牛乳が適当だと思います。
ス:原料に比べて製品の輸送量が多くかかる、とあります。
これは、アイスクリームでしょう。
実はこの問題、サ〜スがどの製品かを考える必要はないのですが、
解説入れました。
工場の場所について
次に、工場の場所についてです。
最も酪農が盛んなのは北海道でしょう。
つまり、生乳の生産地は北海道です。
一方、人口が一番多いのは関東地方。
つまり、関東地方が最大の消費地です。
これを踏まえて、J〜Lを見てみましょう。
Jは北海道、東北、関東満遍なく工場があります。
つまり、北海道でも東北でも関東でもどこに工場を作ってもいいということです。
Kは明らかに北海道に工場がたくさんあります。
つまり、原料を作っているところに工場を作っているということです。
Lは関東に工場がたくさんあります。
つまり、消費地の近くに工場があるということです。
これでわかったでしょうか?
農場から工場に運ぶ(①)、そこで製品にして消費地に運ぶ(②)ということが行われますが、
2回輸送費がかかります。その金額が問題になるのです。
アイスクリームは②の方が輸送費がかかります。
つまり、①の距離が長くてもいいから②を短くしたい。
そうすると儲かるのです。
一方、チーズは逆です。①の方が輸送費がかかります。
つまり、①をできるだけ短くしたい。
そうすると儲かるのです。
牛乳はどこでもいいですね。
なぜなら、①も②も輸送費は変わらないから。
以上のことから、Jが牛乳、Kがチーズ、Lがアイスクリームということになります。
工場の立地というのはどのように考えるかというと、
「どこに工場を作ったら一番儲かりますか?」
ということです。
高校地理の用語では、
チーズは原料指向型、アイスクリームは市場指向型ということになります。
開成中の問題
もう一度掲載しました。
全く同じじゃないですか?
今までの解説を読んできた方はわかると思います。
Hが生乳生産が多いから北海道。
Fは乳製品向け(例えばバター)が多く、Gは牛乳向けが多い。
乳製品向けが多いのは都市部から遠いところでしょう。
一方、牛乳向けが多いのは都市部です。
すると、Gが関東・東山、Fが東北ということになります。
入試対策としてやるべきこと
別に、小学生・中学生に共通試験を解きましょう!と言っているわけではありません。
ただ、こういう考え方があるよ、ということは知っておくべきだと思います。
我々教える人間は中学入試、高校入試、大学入試全ての問題を見ています。
そこから、「これは使える」という考え方を見つけると
皆さんに教えるということです。
例えば、中学入試で出てきた考え方でなるほど!というものがあると、
それを高校生に(アレンジした上で)伝えることはたくさんあります。
我田引水になりますが、やはり科目のことをよく知っている講師に習うのが
一番だと思います。
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